ニューロン活け造り

おすすめはわさび醤油

第七回プロト歌会

 

はじめましての方ははじめまして、neuro(のいろ)と申します。

シャニマス詩歌部の第七回プロト歌会に参加させていただいたので、提出した二首の自解をここに記します。

詩歌部さんのDiscordサーバーにはつい最近加入させていただいたばかりで、今回が自分にとっての初歌会となったのですが、自分が同じ題で作歌を試みたからこその鑑賞体験というものができたのがまず第一によかったことだなあとしみじみ思っています。

 

 

ユニット指定部門【題:シーズ】

 

ト 鏡像より不確か、ステップも揃わない、けど触れられるらしい「あいかた」は/シーズ

 

バカ字余り、大破調。

これまでのシーズの足並みの揃わなさと、そこにぎこちなくも生じている変化(「モノラル・ダイアローグス」で、美琴にせきの症状となって現れたような…)を表現できたらとこのような形にしてみたのですが、独り善がりな歌になってしまったかもな、とも感じる。荒削り感は否めないですね。

お題がシーズであることを知った時から、詠み込みたいモチーフとして「鏡」がありました。

鏡は誠実だけど、見る者がそこに見出すのはときに見たいと思うものだけかもしれない。

鏡の中の自分と望んだままのステップを踏めるということは無上の喜びであっても、それだけをやっているようじゃ、自分自身との間にさえも対話は成立しない。

にちかも美琴も、鏡に映るものばかりを基準にしてしまうような不健全なところがあるけども、互いの存在によって互いの輪郭を確かなものにしていけたらいいねという一首でした。明るいというか、展望を感じるうたにしたかった。

 


テーマ指定部門【題:口紅】


ト おのが身に流れる血色ちいろを決めていいという自由を口紅と呼ぶ/田中摩美々

 

「おれは二次創作短歌をやるぜやるぜやるぜ」の意気込みでシーズのほうを作ったので、こちらは少し異なる趣のものを目指しました。

口紅ってお題、最初に見た時から他の方の作品読めるのがめちゃくちゃ楽しみで。ポップでファンシーにも、クールでエレガンスにも、ビターでグルーミーにも、いろんな表情を引き出せる題材だと感じたからです。

自分で描きたいと思ったのは、自己表現・自己実現のアイテムとしての口紅でした。ならば適任は摩美々じゃないかとも。

そういう意味では、ある種の普遍性というか、「アイドル・田中摩美々に惹かれたり、かくありたいと思う人が憧れているのはこういうところにではないか」というのを歌ったものってことになるのかな。

唇は可視粘膜で、血管の色がダイレクトに見える。血の赤色は温かみや人情味を感じさせるものでもあるけど、「冷血」って言葉があったり、「てめえらの血は何色だ!」なんて言ったりするように、じゃあそんな固定観念から外れることは悪いことなの?という問いを摩美々は抱くんじゃないかなと思う。摩美々は『悪い子』だから、率先して外れようともするよね、と。

摩美々のうたにしてはまっすぐすぎだし言いすぎたかなという気持ちと、でもありたい自分の在り方についてはきっぱりとした自己言及をする子だしなの気持ちの間で今も揺れている。

血の色が赤以外なことで有名なのはイカとかタコとか甲殻類だけど、爬虫類にもミドリチトカゲといって文字通り緑色の血液を持つトカゲがいるらしいです。

 


短歌むずかしいけどおもしれー

他の二部門まで手が回らなかった後悔がかなりあるので、次に参加する機会があれば全部門での投稿を目指したいです。

 

シャニ短拝見していると時々自分が好きなのにうまく言語化できなかったり、どれだけ言葉を尽くしてもこぼれ落ちる何かがあるようなものを見つけてもらったような感覚になる歌に出会うことがあって、それってすごくハッピーなことなんだろうなと思います。今回の歌会でもそういう出会いがあったのでうれしい。