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ウルトラヒーローズEXPO2021に行ってきた話

 

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グランドフィナーレ終演後に撮ったゼットくんのポスター

ミーツ・ヒーロー

ここ数ヶ月でまんまとウルトラマンにハマり、とうとう先日『ウルトラヒーローズEXPO2021 ニューイヤーフェスティバル』に行ってきました。

バトルステージは1/3の16:10回と1/4のグランドフィナーレを観覧。ウルトラショットも撮らせていただきました、これからはウルトラマンエックス(ゴモラアーマー)さんとツーショ撮った人間として胸張って生きていきたい。

すごかった! このような世情にあって(あるいは、であるからこそ)不安とか閉塞感とかそういうものをいっとき吹っ飛ばしてくれる熱量のあるイベントでした。とはいえ、それはコロナ禍による影響を感じさせないイベントであったという意味ではなく。区画ごとに手指用の消毒液・サーマルカメラ・靴裏の消毒マットが設置され、ウルトラショットの待機列には等間隔にテープが貼られ、チケットのもぎりは観客自らの手で、バトルステージの座席は左右に1席ずつ間隔を空けて座り退場時にはスタッフによる入念な消毒が行われる。そしてヒーローの応援は、声に出してではなく胸に当てた手を前方へ伸ばす「ウルトラチャージ」で。徹底した感染対策に、スタッフの方々の開催に至るまでの並々ならぬ尽力を感じました。

会場にはたくさんの子供たちが訪れていました。エックスのソフビを握りしめてショットに並ぶ子。ルーブジャイロで遊ぶ子。ストリウムブラスターの練習をする子。会場で流れる主題歌を一緒に口ずさむ子。ストレイジの隊服やリクのジャケットやイージスの制服を身につけた子たち。自分の『好き』をのびのびと、思い思いに表現するみんなの姿はとても輝いて見えました。2020年はウルフェスを筆頭に多くのイベント・ヒーローショーが中止を余儀なくされた年でしたし、これから先安定的にイベントが開催できるようになるとも限りません。そんな中でもヒーローを好きでいてくれる子供たち(もちろん大人もですが)が一人でも多く、そして安全にヒーローと触れ合える機会を作りたいという熱意がこの全40公演を成功へと導いたのではないかと思います。そういう意味では間違いなく、スタッフやキャストの方々もまた誰かの笑顔のために戦う『ヒーロー』でしょう。ウルトラショットのスタッフさん、みなさん明るく親切で緊張に震えるわたしの心はとても救われた。

 

綺羅星、集結

ここで軽く自分のウルトラ遍歴に触れておきたいと思います。

・家族の影響で昭和ウルトラマンを見ていた幼少期。好きな怪獣はガヴァドンテレスドンとノーバ。怪獣図鑑持ち歩いたりセブン師匠のソフビをポケットに入れて連れ回したりウルトラホーク1号の模型を作ったりぼくのかんがえたさいきょうのガヴァドンの絵を描いたりしていた。

・2020年8月、天啓を得たかのごとく突然ウルトラマンZの視聴を始め、ウルトラマンZのことしか考えられない身体になる。ヘビクラ隊長への理解を深めるためにウルトラマンオーブの本編を完走したがますますわからなくなる。

・そこからジード→X→R/B→タイガ→ギンガとニュージェネレーション作品の視聴を進めていく。ジードの17話でめちゃくちゃになり単独記事を書く。今気になっているのはメビウスとネクサス。

こんな感じのいきさつを経てきた私ですが、ニュージェネで一番思い入れの強い作品がジード、一番好きな主人公もリクくんなもので、ジードギャラクシーライジングがデカデカと写っているキービジュアルが公開されて以来それはもう異様に緊張していました。朝倉リクという少年のアイデンティティの根幹にある『ヒーローショー』。憧れのドンシャインと出会ったその場所に、ウルトラマンジードというひとりのヒーローとして立つ彼の姿を間近で見届けられるのがとても嬉しかった。しかしながら同時に、声を上げて声援を送ることができないという状況には大変歯がゆいものを感じていました。ジードも、そして今回のステージの主役であるゼットも「名乗る」こと、そして「名を呼ばれる」ことがとても重要な意味を持つキャラクターたちなので、彼らの名前を"ご唱和"できないのがただただ悔しかった。

そういった無念も抱えつつの観覧になったのですが、正直なところ、観ている途中からそんな悔しさはどこかへぶっ飛んでいました。それくらい没入感のあるステージだった(もちろん「いつか心置きなくみんなでご唱和できる日を」という気持ちは今も抱え続けていますが!)。

印象に残ったシーンは数え切れないほどあるのですが、ここでは特にいいなぁと感じたポイントを挙げていきます。

ストレイジの「その後」

今回のステージでまず感心したのは、司会の方が「ストレイジの新入隊員」という設定で登場したところ。自分の知っているストレイジは本編で解散してしまいましたが、その志を受け継ぐ人たちは確かに存在する。それはとても素敵なことだなと、しょっぱなからしみじみさせられました。

そして何より胸いっぱいになったのが、AI搭載セブンガーを開発したユカさんの「これからは戦うだけのロボットじゃなくて、みんなを楽しい気持ちにできるロボットを目指す」という願い。

Z本編における特空機たちは、ゼットと並び立って人々を守る第二のヒーローとして描かれる一方、その実態は使い手の倫理や善性が問われる「無色透明の力(暴力)」でもありました(Zの『力』観のおもしろいところとして、人類視点ではウルトラマンもまた不確実性・制御不可能性を孕んだ未知数の暴力装置であり、そうした認識の延長線上にあるのが「制御可能なウルトラマン」がコンセプトであると言える特空機4号・ウルトロイドゼロだという点を挙げたいのですが、本筋からは少し逸れてしまうのでこの話はまた別の機会に)。

逆に言えば、Zの物語の中で特空機をヒーローたらしめていたのはストレイジの人々の強い信念と矜恃であったわけです。それを象徴するのが、第20話におけるハルキの「俺たちは怪獣を倒すために戦ってるんじゃない、命を!守るために戦ってるんですよね!?」という叫びでした。ユカの考える「みんなを楽しい気持ちにできるロボット」像は、これに倣ったものであるように感じました。ハルキが命を守るための戦いを、ゼットが戦いを終わらせるための戦いを己に課して宇宙の彼方へ旅立っていったように、ストレイジもデストルドスという災厄が去った今、改めて平和を願う想いを特空機たちに託し戦いに身を投じるのでしょう。

ハルキを庇い「ここにいるみんなを守るのが、ワタシの使命」と言って倒れるセブンガーくん、かっこよかったね。セブンガーくんもまた『傷つき倒れても構わない』勇敢で高潔な精神を備えた戦士なのだ。

・ハルキとジャミラ

これはZを見ていて何度も感じたことだけど、ハルキってかくあるべしという強固なヒロイズムの上に成り立つヒーローではないというか、貫くと心に決めた信念や思想に従い戦っているってわけではないよなという。あるのはただ、ひとつでも多くの命を守りたいというひたむきさ。だから変わっていったのは考え方じゃなくて視野とか視点とかそういうものなんですよね、より大きな脅威に抗うためにはより強大な力を手にする必要が出てくるし、その力で守れるもの/守れないものを改めて見つめ直すことになる。それを繰り返すということは、前述した「『力』にどんな意味を与えるか」というZの物語に通底するテーマにも繋がってくる。

だから今回ハルキがジャミラを前に変身を躊躇してしまったのも、戦いのさなか苦しむような涙を流すような仕草を見せるジャミラに思わず駆け寄ってしまったのも(このシーンで流れる「優しさは力」、ニクい)戦士としては正しくないのかもしれないけどナツカワハルキとしては正しい行動だよな、みたいな。この分かち難い弱さと強さがハルキのヒーローとしての魅力なんだなといま一度感じました。

・ニュージェネレーションの軌跡

エックスさんが出るなんて聞いてないよ!!!!!

ジード・グリージョ・タイガ・エックスらニュージェネレーションの戦士たち、ゼロとおいしいところを持っていくジャグラー、それにアーリーベリアル・アーリートレギアに極めつきの六兄弟。改めてとんでもないメンツですね。この中に当たり前のようにセブンガーが交ざっているのもいい。

そしてとにかくクロスオーバーが細かい、ルーブタッチをするグリージョちゃんとゼロ師匠、地球人との絆をゼットくんに説くタイガくん、ジードVSアーリーベリアル・タイガVSアーリートレギア、戦いの後のセブン・ゼロ親子とタロウ・タイガ親子の団欒にエース兄さんからゼットくんへの賛辞、暴れるベリアロクさんに手を焼くセブンガーくんと挙げ出すとキリがない。ゼロ師匠とジャグラーさんのガラが悪い共闘、ずっと見たかったものです。ありがとう。配信のカメラには抜かれていませんでしたが、へたり込むグリージョちゃんに手を差し伸べたら腕ブンブン振り回されてされるがままのエックスさんにジードくんが駆け寄って会釈し、三人で仲良くサムズアップするシーンが好きすぎる。

しかしZを見始めた頃にも感じましたが、ウルトラシリーズってこんなに作品間・世代間のリンクが強いコンテンツなんですね。ブランド力に自覚的と言えばいいのかな。ゼロが繋いできた新世代ヒーローたちの絆のバトンがゼロの弟子であるゼットに託される瞬間を目の当たりにすることができたこと、とても光栄に思っています。

それと究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロスさんは敵キャラとして設定がめちゃくちゃ便利ですね。時空越えられるしギャラファイで決着ついてもしばらくはショーやイベントで引っぱりだこになりそう。

・いつかご唱和できる日を!

というのはアフタートークにおけるヘビクラ隊長もとい青柳さんの言ですが、いや本当にこれなのね。僕も今年の抱負これです。絶対みんなでご唱和したいし声に出してゴーストレイジ!したい。

アフタートークもとても楽しかったです。貴重なお話をたくさん聞けたというのもそうだし、ストレイジのみんな+カブラギくんに会えたこと、玉置成美さんのConnect the Truthを生で聴けたこと、一生の宝物だなあって掛け値なしに思います。

ハルキもとい平野宏周くんは目がとにかくキラッキラしていて綺麗で、口を開くとふにゃふにゃでちょっと抜けてる部分もあるけど決めるところはしっかり決めるところも含めてすごくハルキだった。

ヨウコ先輩もとい松田リマさんは溌溂としたオーラとぴんと伸びた背筋がすごく印象的だった。誕生日サプライズの白い大輪の花束がとても似合っていたし、ヨウコ先輩の持つ強さ優しさ高潔さといったものを感じました。

ユカさんもとい黒木ひかりさんはとにかく動く!走る!自由奔放で闊達自在!!ゲスト回では自前のトング持って隊長とハルキ追いかけてたって話めちゃくちゃ好きです。元々怪獣好きという話は以前から伺っていましたがアンヌ隊員に憧れていた話はなるほどなーと。

カブラギくんもとい林カラスくんの「これまでのヴィランは頭を使うキャラクターが多かったから野生的な演技で差別化を図った」という旨の話、良かった!ユカさんと一緒に隊長の後ろにくっついてステージに上がってきたの見た時点で笑いを抑えられなくなっていました。

ヘビクラショウタ a.k.a ジャグラスジャグラー a.k.a 青柳尊哉さんは最後のハルキへの挨拶が良かった。あれをジャグラーの言葉として受け取った時、個人的に一番ぐっとくるのは「俺が絶対助けてやるから」に続く「みんなが絶対助けてくれるから」なんですよね。かつて光の戦士にあこがれた自分、目の前の命を救おうとせずにはいられない自分、にもかかわらず己の無力さゆえにみすみす取りこぼしてしまった命がある自分、そういったものにきちんと向き合ったことでこうして胸を張って堂々と「俺が絶対助けてやる」と言えるようにまでなったのはとても大きな成長だと思います。

またZにおけるジャグラーの変化を語る上で欠かせないのが最終回の「逃げていい」というセリフ。他人に厳しく、自分に対してはそれ以上に厳しくストイックで理想が高かったオリジンサーガ時代の彼には口が裂けても言えなかったであろう言葉であり、おそらくはあの時ミコットに言いたくても言えなかった言葉でもあり。「逃げていい」は「逃げなくてもいい」の裏返しで、つまりは自分の意思で生きろというメッセージ。そんなストレイジの人々への厚い信頼が、「みんなが絶対助けてくれる」という言葉にも滲み出ているように感じました。

 

遥けき輝きのある限り

今回のバトルステージの脚本で非常に巧みだと感じたところをひとつ挙げるなら、それは「コロナ下のヒーローショー」であることを逆手に取った仕掛けが組み込まれていることでした。腕を前へ伸ばすウルトラチャージのポーズはハルキの「この手の届く限りみんなを守りたい」という祈りとオーバーラップし、モニターにはウルトラマン基金の在宅支援企画で募集された全国のウルトラマンを応援している子供たちの写真が映し出される。そして私が何よりも心を揺さぶられたのは、会場に駆けつけたエックスの「ここのみんなの想いと、地球の声が聞こえたんだ」という言葉でした。そう、ヒーローには聞こえている。たとえ声が出せなくても、その場に居合わせてはいなくても。

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この動画がEXPOと同時期に公開されたのもたまらないんですよね。大地と地球のみんなが楽しそうにしてるのを見て勝手に来てしまうエックスさん、おもしろすぎる。と同時に、ああこの人は苦しい時も楽しい時も、頑張れない時も頑張りたい時もこうして宇宙の彼方から駆けつけて寄り添ってくれるヒーローなんだなと胸がいっぱいになる。

現実的には、向こうの世界で戦う彼らにこちらの世界の問題を解決することはできないわけで。それでも彼らはいつだっていろんな形で私たちに寄り添ってくれる。頑張ること、挑戦すること、困難に立ち向かうことの後押しをしてくれるし、悩むこと、逃げ出すこと、一度立ち止まることを肯定してくれる。

ステージラストのウルトラマンたちの言葉。「我々ウルトラマンの使命は、みんなの希望となり、何者にも負けない勇気を示すことだ」「今地球で起きている大きな困難にも、みんなで力を合わせればきっと乗り越えられる!」「みんなのハッピーはみんなで作りましょう!」「この星の平和のために、今ひとりひとりができることがきっとあるはずだ!」「俺たちウルトラマンはいつまでもずっと、明るい未来が来ることを信じてるぜ!!」。そしてハルキの「笑顔で、思いやりと優しさを持って、誰かのヒーローになりましょう!」という呼びかけ。私たちの先頭を走っている遠い道標のような光であり、私たち以上に私たちの生きる力を信じてくれている存在。それがヒーローというものなのではないかなと思います。

そんなわけで私も彼らの信頼に恥じぬようほどほどに頑張って、でも前を向くことだけはやめずに生きていきたいな~と思います。どうにもならなくなった時は逃げていい、そんな言葉が自分をほんの少しだけ強くしてくれたと信じて。